かつては、町の中心には‟学校”がありました。
子どもたちの笑い声が響き、運動会の日には地域の人が集い、まるで一つの家族のように過ごしていた日々。
卒業してもなお、心のどこかにその風景を覚えている方も多いのではないでしょうか。
地域とともに歩み、時代の移り変わりを見つめてきた学校の姿を通して、人と町をつないできた‟学びの記憶”を残すこと。
それは、一つの「自分史」であり、「地域の物語」でもあります。
今回は、「学校という、もうひとつのふるさと」というテーマで自分史の形をご紹介します。
◆ 学校の記憶をたどることは、町の歴史をたどること
入学式の桜、校庭の砂の感触、黒板に残るチョークの粉。
校舎の窓から差し込む午後の光や、廊下に響く放課後の足音——
学校で過ごした時間は、個人の思い出であると同時に、その地域の歴史でもあります。
長い年月の中で、子どもたちを見守り続けた校舎。
地域の人々が花壇の手入れや清掃活動に集まり、「子どもたちの声が聞こえるうちは‥」と言いながら学校を支えてきた姿も、多くの思い出として刻まれています。
学校の歩みをたどることは、地域がどのように変化し、何を大切にしてきたのかを知ることでもあります。
運動会の応援旗、秋祭りの集合場所、避難訓練のサイレン——
校庭や校舎の一つひとつの風景が、地域の時間の流れを映し出しています。
◆ 閉校・統合しても残る‟心のふるさと”
少子化や時代の流れによって、統合や閉校を迎えた学校も少なくありません。
ですが、校舎がなくなっても、その場所に刻まれた思い出は人々の中で生き続けています。
「ここで泣いた」「ここで笑った」——
卒業生や地域の方々が旧校舎に集まり、写真を撮る光景は、学校が単なる建物ではなく、‟心の拠り所”であった証でもあるのです。
ある卒業生は、放課後の校庭で友人と過ごした時間を振り返りながら、「ここで学んだことが、今のわたしにつながっている」と語っていました。
このような個人の思い出を、学校史としてまとめることで、地域全体の記録としても価値も持つようになります。
◆ 自分史の新しいかたちとしての「学校史」
近年、自分史制作の中で‟学校”をテーマにされる方が増えています。
母校の思い出をまとめたい方、地域の学びの場としての記録を残したい方、または統合や閉校をきっかけに関係者で一冊の冊子を作られる方もいらっしゃます。
学校を舞台にした自分史は、個人の記録を超えて地域の記録としても価値を持ちます。
一人の思い出が、みんなの物語へと広がること。それは、過去を振り返るだけでなく、未来に残す贈りものでもあります。
◆ まとめ —記録すること、それは未来への贈りもの
校舎の写真、当時の文集、先生や友人の言葉——
一つひとつをまとめることは、懐かしさだけではなく、次の世代への‟贈りもの”にもなります。
学校という場所が教えてくれた学び、絆、時間の流れ。
それらを記録に残すことで、過去から未来へとつながる物語が生まれていきます。
たとえ、校舎がなくなっても、思い出の中にある“学び舎”は色褪せることはありません。
誰かにとっての「もうひとつのふるさと」を、自分史というかたちで残してみませんか。
「母校の記憶を残したい」「学校と地域の歩みをかたちにしたい」——
その想いを大切に、一冊の“街の物語”としてまとめてみませんか。
新しい自分史かたち、学校史づくりに関するご相談も、お気軽にお問い合わせください。